元留学生インタビュー 4回目(貴島 亮君)

2014年10月~2015年9月までブラジル留学をしていた貴島君に当時のことを思い出してもらいながらインタビューを行いました。当時のことや現在にわたって色々と語っていただきました。

簡単に自己紹介をお願いします

貴島亮です。サッカー歴は小学校はヴェルディジュニアに入っていて、中学は坂戸ディプロマッツFC。高校から流通経済大学付属柏高校で、流通経済大学3年の時に途中で退学して、ブラジルに1年間行って、こっちに帰ってきて、さいたまSCの社会人チームに入って、一昨年までプレーしていたって感じですね

今、何歳だっけ?

今年31です

社会人で、関東リーグに所属していたんだっけ?

関東リーグです

得点王とベストイレブンになっているよね?

関東1部で得点王を取って、2部でベストイレブンですね

さいたまSCって、今は何部なの?

今は県1部です。落ちました

県1部に落ちちゃったんだ

当時は得点王を取った時も、チームの成績は全然良くなかったんですよ。10チーム中8位とかかな。なので、多分ベストイレブンに入る投票が全然もらえずに得点王だけ取って、ベストイレブンは取れなかったんですけど、2部に落ちた年はベストイレブンを取りました

その時は成績はどうだったの?

その時は2部で5位とかですかね

そうなんだ

その時も得点ランキングは2位だったんですけど

得点能力はすごかったんだ!

あんまり得点能力キャラではないんですけどね。なぜか知らないけど、点は取れていたんですけど

そういえば去年引退した理由っていうのは?

引退した理由っていうのは、試合中に前十字靭帯を切っちゃって、仕事と家庭の兼ね合いもあるんですけど、タイミング的に手術してまで復帰するっていうのは困難だったので。それでいいタイミングっていうかどうか分からないですけど

まあ、タイミング大事だから・・・

はい・・・

あと率直にブラジル留学とか、ブラジルに関して話を聞いていきたいんだけど。実際にブラジル留学っていうか、そのブラジルを選んだ理由というのは何かある?

ブラジル選んだ理由は、小さい頃からブラジルっていうのは憧れを持っていて、自分もサッカーやり始めた時にロナウド,怪物の方のロナウドとかすごい好きな選手だったのもあるし、ブラジルって言えば、ものすごい強い国っていう憧れみたいなのもあったっていうのと。あとはエジソンさんのよく知っている保坂さんにエジソンさんを紹介してもらったという話があって、ブラジル行く機会っていうのはなかなかないと思うので。
行っていた高校が軍隊みたいに厳しくて、自由にサッカーがしてみたいっていうのもありました

流経大が?

高校サッカーやっている時に、心からサッカー楽しかったかって言われたら、そうじゃない部分も多かったんですけど。
高校3年の夏休みの1ヶ月間、短期でブラジル行かせてもらったんですけど、その時に体験したブラジルでのサッカーっていうのが、自分はすごい楽しくて、久しぶりにサッカーを楽しめるっていう感覚があって、また行きたいなと思いました

もともとはヴェルディジュニアだっけ?ヴェルディといえばブラジルなんだけど

だから割りと身近にブラジルがあったのも理由だと思います

ブラジル1回目はどこに行ったんだっけ?

グアスアーノです

2回目の1年間の時は?

2回目は色んなところ転々としたんですけど。最初に行ったのはピラスヌンガ。でも大会は終わっていてU20(アンダー20歳)しか活動していなくて、U20はもう終わるみたいな感じで解散するってなって、ペジモレッキに行って、そこから1回ジャバクアラに行って、そこもU20の大会だけ残っている状況だったんですけど、トレーニングできるならっていう感じで、ジャバクアラに行って、またU20が終わって解散して、ペジモレッキに戻ってきて、そこからサンタヒッテンセへ行っているんですよね

色々と行ったと思うんだけど、イトゥアーノは行ってないんだっけ?

イトゥアーノは1回も行ってないです

回ったところで、印象に残ったところってある?

ジャバクアラが長かったので、ジャバクアラの思い出が多いですけど。ピラスヌンガもほとんどやってないですし。サンタヒッタも環境っていう意味では、なかなかすごいところではありましたけど笑

ケイタからも聞いたんだけど、相当大変だったみたいで笑

そうですね、シャワーもスタジアムにしかない状況で。しかもシャワーの数も2つぐらいしかないとこだったので

ご飯も大変だったみたいで

飯もそうですね。サウシーシャ1本だけみたいなとか

経験として今となれば、それはそれで楽しかっただろう?

今となればいい経験だったなと思いますけど、当時は結構しんどかったイメージですね

何事も人生経験だから

そういった意味では確かにいい経験させてもらいました

後になれば笑い話で笑

今、行ったら多分順応できるんじゃないかなと思いますね。日本って自主練文化じゃないですけど、やればやるだけ評価されるみたいなのがあるじゃないですか

ブラジルは決まった時間内にしっかりやって、ちゃんと1日の流れをしっかり守れっていうところだから

その間にボール蹴らしてもらえればいいんですけど、ボール蹴らしてもらえないから、だから残ってボール蹴ったりしていても「もう終わりだ」みたいな感じで、ボール集められて「早く上がれ」みたいな感じになっているとか

主に開幕前の合宿っていうか、トレーニングはフィジカルも色々あるんだろうけど、始まっちゃえばだいたい1部練(1日1回)が多いのかな?

オフ明けは2部練とかで、午前中フィジカル、午後から戦術的なことをやって。絶対試合前日はヘクレアソンやるので。でもだいたい1週間、試合終わって、次の週の試合までの間に2部練2回ぐらいあったんじゃないかな

食事に対しても内容が良かったり悪かったりしたと思うんだけど、ブラジルの料理に対しては抵抗あった?

徐々に嫌いになったっていう感じですかね笑

ブラジル料理自体は色々あるかもしれないけど

美味いものがあるのも知っていたし抵抗は別にそんなにはなかったですよ

キボン(シュラスコレストラン)とか行きたくなる?

そうですね。あれは美味しいブラジル料理じゃないですか

あれはシュラスコだからね

ああいうのが毎日出てくるわけじゃないですから

そりゃそうだよ。ビッグクラブだって出るわけないじゃん

毎日食べるようなブラジル料理は結構味付けが全部同じで。。

基本的にそうだけどね

飽きちゃって途中から。すごい日本食が食べたくなって、自分たちでうどんをうったりとか

日本レストランは近くにあった?

ないです

サントスはないか

ないので、うどん食べたくなって小麦粉と塩あるじゃないですか。うどんが作れると思って、うどん作ったんです。でも、うどんって結局出汁が大事じゃないですか。ブラジルのスーパーとかに売っている醤油って偽物しか売ってないじゃないですか

現地のやつだからね

リベルダージ(日本人街)とか行けば話は別なんですけど

リベルダージ行けば輸入品はあるけど。向こうは現地で作っているやつなんで

結局うどんも食べた気にならなくて

そうか。じゃあ色々現地でも苦労しているんだな

苦労もそうですね。人並みには

サントスとかは結構大きな町じゃん

そうですね

もちろん、他のサンタヒッタとか

サンタヒッタに比べれば全然そうですね

治安とかどうだった?

治安は自分が行っている時は、悪いとか感じることはなかったんですけど。ただブラジル人に言われていたのは、夜中は1人で絶対に外出歩くなって言われていて、「夜にスーパーでも行きたくなったら、必ず俺たちに声かけろ」って

それはあるよね

「お前らだけで出歩くっていうのは危ないから、迷惑とか思わずに一声かければついて行くから、1人で絶対外に出歩くな」っていう風に言われたんで、それは守っていましたね

それは守った方がいいと思う。それはブラジル人だって、その辺ウロウロ夜にする奴いないんだから。そういうのを守っていれば、特に危ない目に遭ったとかっていうのはないんだ

そうですね。別に自分たちの身の回りで、やばい危ない事件があったとかっていうのは全然なかったし、別にそこまでやばいなって思うことも行っている間はなかったですね。同じ部屋の奴らは物盗まれたりとかってのはありましたけど

あとは交通に関してはどうしていたの?

交通はバスですね。でもメトロもあったりもしましたけど

ブラジル人に関してはどういうイメージがあるの?チームメイトとか、そういう風に色々アドバイスとかしてくれたみたいだけど

みんな基本的には陽気でいい奴らっていう感じでしたね。悪ふざけ大好きみたいな

その辺は特に大きなトラブルとかはあった?

全然トラブルとかはなかったですね

チームメイトとかブラジル人とか楽しく仲良くできてたのかな?

はい。割と仲いいやつもできましたし。最近はそんなでもないですけど。それでも今でも誕生日になれば連絡くれるような友達もできたので

そういう面で人間関係はそれなりに楽しくできた?

そうですね

留学して色々あったみたいだけど、どうだった?

サッカー面ですか?

サッカー面でもそうだし、この1年間ブラジルで得たものとかあると思うんだけど。決して無駄にはなってないと思うので、その中で自分が学んだこと得たこと。実際に行って何か感じたことってあると思うんだけど

サッカー面に関しては、もちろん日本のサッカーとブラジルのサッカーって全然違いますし。日本で通用していたプレーが向こうでは通用しないっていうのもあったりとか。
僕は結構、足元のテクニックに自信があったので、それを活かせればっていうか、そういうのを発揮できれば、それなりにやれるんだろうなと思って行ったんですけど。
チームにもよると思うんですけど、練習とホームスタジアムが一緒。練習場というか、スタジアムのコートで練習もするし、試合もするしっていう感じじゃないですか。天然芝での練習をしちゃうと芝がぐっちゃぐちゃになるんですよ。
そうなってくると、もうイレギュラーするのが当たり前だし、そういう環境になった時に、自分の持ち味が発揮できるだけのスキルはなかったというのが、向こうに行って1番苦労したというか。
自分の持ち味が出せなかった、結局彼らって足元のテクニックでサッカーしているわけじゃなくて、イレギュラーすることが日常のところでずっと勝負してきた人たちなので、それに即したサッカーができるし、そうやって自分の思い通りにトラップが上手くいかなかった時に、どのようにしてボールを取られないような体の使い方っていうのは、すごい上手いというか、実際に自分もボール取れなかったんですけど。
フィジカルも強いですし、簡単にボールも取れない。例えば、そのぐしゃぐしゃのピッチの中でも踏ん張れる力があったりとか。身体能力的な部分もブラジル人に上回れなかったので、そこで勝てない。勝てないというか、まだまだ戦力になれないっていうのは痛感したので、そういうことを学べたっていうのはすごい良い経験だったなと思うんですけど。
自分の中でブラジルの挑戦、プロ契約を勝ち取るための挑戦って言った意味では、失敗だったっていうのは自分の中ですごい感じていて、行かなきゃ良かったなとは思わないですけど、自分にとってのブラジルの挑戦は失敗だったっていうのはあるので。他のヒロとか、ブラジルに行った理由が自分の成長っていう意味でブラジルを選んでいる部分もあるんですけど。僕はブラジルでプロ契約を勝ち取りに行きたかったので

それは多分ケイタにしろ誰にしろ、ただ単に留学という気持ちでは行っていないと思うけど

そういった意味では、ある一定の結果を残せていないので、そういった意味では失敗っていうイメージが強いですけど、違うサッカーを知れたっていう意味ではすごい経験だったなっていう気持ちが強いです

失敗っていうのは、プロになることに対して達成できなかったわけじゃない。自分が行っていた1年間っていうのは、自分の人生にとってどうだったのかっていう。これは無駄になったのか、やっぱり向こうで色んなことを経験したことによって、自分にとっては今は活かすことができているとか。それは向こうでの全然違う文化の中で過ごしてきたわけじゃない。だからそれの中でプラスになるものを自分は得ることができたのか。逆に本当に結論としては無駄な1年間だと思っているのかっていうところもやっぱり大事だと思うんだよね

そういった意味では全然行って良かったなって、当時、向こうにいる時には思えないことでも、こっちに帰ってきて向こうで得た経験っていうのは、今に活かせているって思う時もありますし、結局自分がブラジルに行っていて、1年間で環境が変われば自分が変われるんじゃないかって期待して行っていた部分もあるんですけど、結局自分の中ですごい劇的な変化ができたって言われると、全然そんなことはなくて。でも日本にいる時って絶対にできない経験なわけじゃないですか。ブラジルで1年間生活するっていうのは。間違いなく経験はしてきているのに、自分が変われないっていうのは、結局問題は自分は環境の変化じゃなくて自分自身なんだっていうのを気づけたっていうのが、ブラジルに行ってすごい良かったなと思うところなんでね。結局自分が変わりたいと思わない限りは、どこに行ったって変わらないっていうのを気づかされて。日本にいても別に変わろうと思えば人間って変われるし、だから今全然サッカーと関係ない職につけて、一応、土地家屋調査士っていう資格も割と難関資格って言われているんですけど、資格が取れたのもブラジルで自分が変われなかったっていうネガティブなというか、その意味付けをどうもたらすかって自分次第だと思うんですけど。結局自分自身が変わろうと思わない限りは、変われないっていうことに気づいたので。

そういうことね。そういう面では、何か気づきみたいなものはしっかりあったわけ?

そうですね。ブラジルに行ってポジティブな変化。俺はこういう風に変わったんだ。人生観変わったんだっていう感じじゃなくて、逆に自分の中で変わらなかったんですよ

逆にそれを気づかせてくれた?

そう。逆にこれだけ環境を変化されても、自分が変わろうと思わない限りは変われないんだっていうのを気付かせてもらえた

向こうに1年いたわけだけど、1年の中で向こうでそういうのをやっぱり感じた部分ってある?それとも全体を通じて帰ってきた時に気づいたものなの?

向こうにいた時もやっぱり焦りみたいなのがあって、思うように試合に絡めないし。代理人に「チーム変えてくれ」ってお願いとかもしたんですけど、「今は様子見よう」みたいな返答しか返ってこないし。本当に自分が変えたいんだと思えば自分でアクションを起こせるわけじゃないですか。代理人に強く言ってもいいし。結局そこに甘んじてしまった自分っていうのもあって。ブラジルに行っている時は、歯がゆい思いもしていたし、焦りもあったんですけど、その時に何かアクションを起こそうとまではいかなく、帰ってきて自分でアクションを起こさない限りは何も変えられないんだなって思いました

実際帰ってきて色々考え方とか行動とか変わってきたんだ

そうですね。意図的に変えようとして、色々変わっているところは

とりあえず何か得るものはあったわけだな

そうですね。もちろん。なかなかないですからね。シャワーがいきなり水になるとかっていう経験は

向こうでは普通だけど。それなりのビッグクラブは違うけどね

デング熱になんか罹らないですからね

その経験はなかなかできないね。ジカ熱とか。デング熱とか。日本とブラジルのサッカーやっぱり違うって言ったけど、根本的には何が違うと思った?

ブラジルの方がより目的がはっきりしていますね。ゴールを奪うっていう目的がすごいはっきりしていて。ゴールに向かうために直結しているようなプレーが好まれるし、日本ではポジションとか、こういう場合はこういう風にプレーするんだよ、みたいなのあるじゃないですか。向こうって点取れば別にどんな取り方でもいいみたいな

もちろん点を取るのが全てだから

結構、僕はサントスだったじゃないですか。サントスの試合って結構スタジアムに行って結構見に行ったんですよ。ブラジルのサッカーってすごいシンプルなんですよね。シンプルなんですけど、ゴールに直結してるからドキドキハラハラ感もあるし、見ていて楽しいなって。そういうサッカーが好きなんだろうなと思っていて。崩しとかもドリブルで仕掛けて、ワンツーではがしてみたいな

ポゼッション率は高かったりするけどね

そんなことするよりも1人で1枚はがせたら、それだけでチャンスになるわけじゃないですか

もちろん、そうだよね。それもペナルティーエリア内だったら、相手も下手な止め方できないからね

1枚はがすから相手もずれができて、そこで初めてパスが活きるっていうサッカーが、すごい自分の理想としているサッカーというか。ブラジルのサッカーを見ていて、こういうサッカーをしたいなって思ったので、帰ってきてから極力仕掛ける姿勢っていうのは、すごい大事だなと思っていて。帰ってきてからはそういうのを意識していました

特にフォワードはね!

そうですね。だからブラジル行って思ったのは、点取れば称賛されるんですよね。フォワードは!

もちろんフォワードは点取るための存在だから

1回練習試合か何かでU20のチームに帯同して、ポルトゲーザかな

ポルトゲーザね。すぐ近くにある

U20の試合で行って、自分が途中後半ぐらいから出たんですけど、点取って勝っちゃったんですよ。そしたら1週間ぐらいクラブに関わる人たちから「点取ったらしいじゃないか」「おめでとう」みたいなずっと言われてて

そんなもんだけどね。単純だから

たかが練習試合で点取って勝ったぐらいで、そんな言われるっていうぐらい言われましたね

気が付いたと思うけど、向こうは練習試合だろうがなんだろうが、得点決めた時の全員での喜びっていうのは尋常じゃない。日本って冷静じゃない。練習試合で得点決めても、逆に喜ぶ方が恥ずかしいみたいな

しかも全然大したゴールじゃないんですよ。こぼれ球決めただけみたいな感じで

それでもやっぱり勝つっていうか、得点を決めるってものに対しての喜びっていうか

それはすごい感じましたね

あとハングリー精神みたいなことはあるけど、日本人は決してないとは思ってないんだけど、中堅のクラブより下ぐらいのところでプレーしているやつがいて、そこから這い上がっていくっていう何か根性っていうか、とにかくここで活躍して上がって家族を支えるみたいな気持ちとかってあるっていうけど、やっぱりそういうのって違うものを感じた?

どうなんですかね。家族を支えるっていうところまでは特によく分からなかったですけど、やっぱりFWの選手だったら自分が点取って、点取れば活躍して上に行けるわけじゃないですか。実際に自分が一瞬プレーしていた時の選手で、結構上の方に行った選手もいるので、そいつはすごい点取って上に行ったんですけど。だからやっぱり自分が結果を残せるようなプレーの選択をしているんだろうし、試合中も味方同士でもボールが来なければ本当に怒鳴り合いですよね

そうだよね。そういうのってあるよね。ただ、終わったら遊びに行ったりするとアミーゴって感じだよね

そうそう。別にサッカーの部分とオフの部分の切り替えっていうのは、すごいはっきりしていますし。後腐れなくじゃないですけど、練習とか試合が終われば別に一緒に飯食ってアホ話で笑いながら

それっていいよな

プライベートに持ち込まれるよりは、そっちの方がいいんじゃないですかね

ピッチ上でお互い要求が激しいというか、そういうのも自分はいいなと思うんだけど。コーチングってわけじゃないんだけど、チームメイトに対して色んなものを要求したり。下手すればケンカに近い言い合いになったりするけど、やっぱりそれぐらい真剣に捉えているのかなと思うけどね。でもその分1回オフになっちゃえば普通にアミーゴじゃないですか

その辺はそうですね。お前らさっきまで喧嘩していたんじゃないのっていうような2人で遊びに行ったりしますからね笑

日本ってどうなの?ピッチ上で大ゲンカしたらその後肩組んで飯食って、どっか一緒に今から行こうかってすぐなる?

多分日本は仲いいやつとピッチ上であんまり言い争いしないんじゃないですかね。僕なんかは他人に強い口調で要求して言った後は、極力話しかけるようにしたっていうか。だいたい後輩とかなんで、いじったりとかしていましたけど。先輩とかは別にいくら言ったって、向こうも大人なので、全然プライベートでは普通に話せるんですよね。自分が上から言っちゃうと後輩とかだと萎縮しちゃうじゃないですかね

まあね。それはあるかもね

あんまりそういう風なプライベートでもそういう関係にならないように、あんまり萎縮されないように極力ピッチ外で自分から話しかけるようにしてました

気を使いますね

これでもさいたまSCでキャプテンやっていたので笑

ブラジルはピッチであんまりそういうの意識してないと思うんだけどね

ブラジル人は全然そういうの気にしないんじゃないですか

国民性というか、性格というか、あっけらかんとしてるよね

文化の違いだと思いますけど

辛かったこともたくさん色々あったみたいだけど、楽しかったことってなかったの?

たくさんありましたよ、リオとかも行きましたし選手たちでお金出し合って肉買って「みんなでバーベキューやろうぜ」みたいなのとか、全然ありましたし、そういうのも楽しかったですし。いきなりブラジル人が日本人の部屋入ってきて、日本人の服を脱がせて、グラウンドのところに汚いプールみたいなところに落とされるんですよ、今になってはバカみたいですけど、面白かったし、楽しかったし。
あと日本人が誕生日を迎えると、食堂で電気を消して待っていて。夜食あるじゃないですか。「夜食食べに行こうぜ」みたいな感じで行ったら、いきなり電気がついてハッピバースデーって始まるんですよ

ブラジルってそういうのはあるよね。本当に嫌々じゃなくて、本当にみんな気持ちよくやってくれるよな

ケーキもみんなで食べたり、すごい楽しい思い出もたくさんありますね

あそこはサントスだからビーチ近いから結構行っていたの?

結構行っていましたね。フットバレーとかも休日にやりに行ったりしてました。
ブラジル人って上手いですよね

普通のおじさんでも平気でやっているでしょう

勝てないですよ。上手いんですよ。日本人ってあまり裸足でボールを蹴るってないじゃないですか。スパイク履いてボールを蹴るのと裸足でボールを蹴るって全然感覚が違うくて、なかなか上手くいかなくて

それはあるかもね。砂の上で不安定なところでボールを操るっていうのも、日本もビーチサッカーとか、もちろんあるけれど、基本的にはそういうの慣れてないじゃない

それこそチームでもオフの日にみんなで集まって、日本人対ブラジル人みたいな感じでフットバレーをやって、コーラを賭けたりとか。勝てないんですよ。ブラジル人上手いんですよ

それ日常の遊びみたいなものだからね

そうそう。向こうは

週末になったらサッカープレイヤーじゃなくて普通のおじさんでも誰でもボールを蹴るのが基本的に好きな国民性なんで、色んな人が集まってきて遊んでるよね

ビーチに当たり前のようにゴールがありますよね。当たり前のように

そうだよな。サントスとかはサッカーが盛んな街なので。
ところで1年いてポルトガル語はうまくなった?

日常会話ならなんとかなるぐらいには

行った時はどうだった?最初はもちろん話せなかったと思うんだけど

全然ですね。挨拶ぐらいです。参考書じゃないですけど、初めてのポルトガル語ブラジル語みたいなものを買って持って行ったりしましたけど

ブラジル人って話せないと分かっていても、ガンガン話しかけてくるでしょ?

しかも絶対、英語通じないじゃないですか。英語通じないからポルトガル語をこっちが話すしかないんですよね。こっちが覚えるしかないっていう

そういう意味では覚えやすいんじゃないの。あれだけしつこく言われると

どうなんですかね。結局僕なんかは日本人がいたからなんとかなっちゃったんですよ。それもあんまり良くなかったと思って。1年で完璧に理解するというのは難しいと思います

実際に留学終えてブラジルから日本に帰って来て、現在は社会人でやっているわけだけど、今は何やっているんだっけ?

今、土地家屋調査士っていう仕事で、不動産の登記とか土地の境界確認の測量だったり、測量全般ですね

自らやっているの?

自らやっています。器械こさえて

時々道端で三脚立てて何かやってる人いるよね?

三脚立てて機械を覗いているやつです

反対側に誰か立っていてって感じだよね

ミラーっていうのですけど、距離と角度を図って図面書いてみたいな仕事をしています

素晴らしい。怪我もあって、あとタイミングもあるから引退したと言っているけど、これからもボールは触るの?

遊び程度ではやるつもりでいます。現役は大変なんで笑

そうだよね。いつまでもサッカー好きでボール蹴るのはいいけれども、また真剣にやってまた怪我したら大変だよね

また怪我したら仕事に支障もろに出るっていうのもありますし。またトップレベルのコンディションに戻すまで、どれだけ大変か、どれだけの時間を取らなきゃいけないかってなった時に、家族の協力も得ないといけない。子供小さいのに自分だけサッカーやっているわけにはいかないので。現役は厳しいなっていうところがあるので、遊び程度でボールを蹴るぐらいだったらいいんですけど

ちなみにまたブラジルとか戻ってみたい?

アサイー食いたいですね

アサイーか

アサイーも食いたいし、エスフィーハ(総菜パンみたいなもの)も好きでした

エスフィーハも美味いよね。コシーニャ(コロッケみたいなもの)は?

コシーニャも好きですし、パステウ(揚げ餃子みたいなもの)も好きだし、結構この辺は好きなんです

パステウは美味いよね

パステウはなんで日本で売らないんだろうなと思うんですよ。日本で売ったら絶対売れると思うんですけど

私もそう思います

あれ本当に美味いですよね

美味いと思うし、まだやっているのかな。知り合ったやつがキッチンカーでパステウの、他の料理もやっているんだけど

パステウは絶対日本でやったら流行ると思う。あれ広がらないかなと思うんですよ

あとみんなアサイーが好きだって言うね。またアサイー食べに行きたいって奴が多いんだけど

甘いですね。あれ、そうとう砂糖で味付けしていますよね

でもそれが良いのかな

日本で食べに行ったんですが違うんですよね。健康志向なのかあんまり甘くないから、これは偽物だって言って。アサイー自体の味ってそんな感じなんでしょうね

アサイー自体はそうだけど、ブラジルの場合どちらかというと物が新鮮じゃん

しかも色んなトッピングがありますしね。フルーツ入れたりもそうですし

でも日本って一過性のブームなんだよね

今アサイー流行ってないですよね

アサイーとか、タピオカとか。ブラジルとかタピオカもアサイーも別にブームというより

国民食ですね。新婚旅行メキシコ行ったんですよ。カンクンに。ショッピングモールで、ブラジルのアサイーがあったんですよ。2回食いに行きましたね。短い期間ながら笑

どうだった。美味しかった?

めっちゃ美味かったです。
当時のお気に入りのトッピングをそのままで美味かったですね

パステウ、エスフィーハ、アサイー食べにまた行こう!

そうですね。費用だしてくれるなら笑

サポートで一緒にブラジル来ないと

サポートで行きますよ

ブラジルサッカーを学びたいっていう。そういう若者にアドバイスをおねがいします

アドバイスになるか分からないですけど、まずブラジルに行くってなったら自分が変わろうと思わない限りは、そこは強い気持ちを持って行かない限りは良い変化っていうのはないと思いますし。
ブラジルのサッカーっていうのは、どちらかと言うと戦術的なことよりも個人としてのスキルが試されるところだと思うので、個人のスキル試したいとか伸ばしたいっていうのであれば全然ありなんじゃないかなと。
ただ、何か突出した才能を持っていた方がより良いのではないかなっていう気はします。例えばすごい足が速いとか、体が強いとか。シュート力がとてもあるとか。何か一芸に秀でていた方が、なんでも出来ます、なんでも屋さんっていうよりかは、何かに秀でている武器を身に付けて行った方が、より楽しめる仲間からの信頼も得やすいと思うので。それなりに出来る奴は向こういっぱいいると思うんですよ

そうですね

この人のここだけは誰も勝てねぇみたいな武器を何か1つでもいいから持って行った方が、ブラジルは活躍できるというか、その方が目に留まると思いますし。日本に居る間にそういう武器を何か1つ身に付けて行ったら面白いんじゃないかなと

日本人は1番わかりやすいのは運動量とかなんですよ。こいつめちゃめちゃ走るなとか

スピードとか

足速い奴向こういっぱいいますけど。スプリント回数は多くないんで、こいつめちゃめちゃ走るなみたいな。スプリントの回数多いなとか。1番分かりやすいじゃないですか。頑張ればなんとかなるところでもあるじゃないですか。今1番目指せるっていう意味では、例えばすごい運動量があってボランチとかで、すごいボール回収率も高いってなれば、活躍できると思いますし。それなりの足元入ってつなげたりもできるから。全然活躍できると思うので。何かに秀でた武器も身に付けていった方が、向こうでは面白いっていうか、活躍できる気がします

それは良いアドバイスだな。実際そうだと思う

日本の場合って全体的にオールマイティに行ける選手が結構好まれるじゃないですか

ブラジルの場合って、ダメな方は取りあえず置いといて、突出しているものは徹底的に磨こうという感じじゃん

突出していれば、そこは気にならないぐらいの活躍できちゃうと思うんですよ。突出させちゃえば。ネイマールぐらい上手かったら守備しろってもったいないじゃないですか

もったいないわな

ネイマールに守備で体力を使わせるより。「お前は別に守備しなくていいから、ボール持った時に点取ってきてくれ」ってお願いするから、チーム戦術じゃないですか

それはそうだね。ブラジルで自己をもっとアピールできるのって大事だよね。目立つっていう。もちろん突出した部分も必要だけど、性格的に「俺をちゃんと見てくれ」みたいなアピールを

自己主張強い選手じゃないと生き残れないなっていうのは

そうそう自己主張ね

僕は苦手なタイプだったので、あまり上手くいかなかったと思うんですけど。そういうのはやっぱり大事ですよね

よく言うんだけど、自己主張は大事だと思う

良い意味でも悪い意味でも目立たないと、監督の目に付かない限りは、全然相手にもされないっていうか。選択肢にも入らないので。

これはブラジルに限らないと思うんだけど、留学を希望している若者選手たちは、やっぱりそういうしっかりと強い自分を持って、何か絶対に負けないような武器を鍛える。やっぱりそういうものに対してチャレンジするっていうのは大事なのかな。これは自分はブラジルをメインにやっているから、そういう若者を相手にしているんだけど、ブラジルで勝負したいとか、それはそれであると思うんだけど、そういう夢を持っていたらチャレンジする価値ってあるのかな?

特に若いうちはチャレンジした方がいいんじゃないですかね。もったいないですよね。若いうちじゃないと行けないじゃないですか。ブラジルに行くとか、海外で挑戦するって、30になって「ブラジルに挑戦してこい」って絶対無理だと思いますし。
それはもう若い人の特権というか。若いうちに経験できるチャンスがあるなら

がむしゃらに真剣に取り組めば、もちろん結果っていうのは後からついてくるんだけど。でもそういう強い気持ちを持ってチャレンジするっていうことは、必ず何か残るっていうことかな?

結局その経験を活かすも活かさないかも自分自身じゃないですか。でも経験しないことには、自分の身になるものもならないというか。そもそも材料がない状況なんで。行って色んなことを経験して、それを自分のプラスアルファにして行けばいいだけの話なんで。そういった意味で行ける機会がある、チャンスがあるんだったから飛び込んで行った方が良いと思いますけどね。だって別に日本にいて何かするっていうのも別にいいと思うんですけど、みんながやってることだし

もちろんね

親御さんとかの理解を得なきゃいけないと思いますけど、親御さんも快く送り出してくれるのであれば、そういう経験ができるチャンスがあるんだったら、どんな風に自分に経験を落とし込めるかって、自分次第にはなっちゃうんですけど、その材料を得るっていう意味では全然行った方がいいんじゃないですか。若いうちしかできないことだと思いますし

わかりました。ありがとうございます

対談は1時間にわたって行われました。

ご協力してくれた貴島君ありがとうございました!

ブラジル留学時代

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